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『ルバーイヤート』

2009.11.20 *Fri
イランの人々は、詩をとても愛する民族であるそうだ。
日本に住むイラン人が著者に、日本で一番有名な詩人の墓を尋ねる感性は、一般的な日本人にはないように思う。
ほんとうはモスクやイマームザーデ(シーア派の教主の子孫の墓所)がいいけれど、なければせめて詩人の墓に詣でたいと。
なんと豊かで美しい感性。

イランの、オマル・ハイヤーム(1048~1131年)という科学者で詩人の四行詩の詩集。

美しい訳文と、詩の合間に入る著者・岡田恵美子さんの解説がとても素晴らしい。
長すぎず短すぎず、的確な解説はハイヤームやイラン、イスラーム文化を知らない人にも深い想像を呼び起こす。

ハイヤームは、お酒を禁ずるイスラームの国にあって、どうやら大の酒好きだった模様。
死んだら酒で湯灌してほしかったらしい(笑)
彼にとっては、酒が何よりの真実だったのかもしれない。

以下、いくつかの詩をご紹介。


わたしが来たからとて、それでこの世がよくなったのか。
立ち去るからとて、それでこの世に輝きが増すのか。
この耳は誰の口からも聞きはしなかった、
わたしがなぜこの世に来て、そして立ち去っていくのかを。


わたしたちは誰にも教わらなかったし、これからも教わりはしないだろう。生まれて来たわけを。

ああ、無益に疲れはててしまったことよ。
天空にきらめく大鎌がわれらを刈りとる。
ああ、苦しや、無惨なこと!瞬きする間に、
われらは望みも叶わず、消えていく!


何を望んで何を得ようとも、風の前の塵と同じ存在の私たち。疲れた体をひと時休ませる宿さえ見つからぬまま消え去る。

あらゆる学識と徳を身にそなえ、
世の光明となり、欠けるところなき人びとも、
この深い闇夜から出口を見出すことはなく、
何やら物語っただけで、眠りこんでしまった。


ミネルバの梟が飛び立った後、私は賢者の言葉に耳を傾け、心は歓喜に包まれる。太陽が大地に触れる時、賢者の体が冷たくなっていることも知らない愚か者。

ああ、掌から美しい珠がおち、
死神の足もとで、われらの臓腑が血にまみれる。
なのに、誰ひとりあの世から戻ってこない。
過去の旅人たちの行方を尋ねることもできない。


土に還ったあなたに、訊きたいことはたくさんありました。

この世から、わたしはどんな利益を得たか――無。
この命が得た果実は、何であったか――無。
私は宴の灯火、だが消えてしまえば――無。
私はジャムの酒盃、だが砕けてしまえば――無。


ではなぜ、わたしはここに在るのか。


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本の感想等を書いてます。
好奇心旺盛なので、興味がわくとあっちゃこっちゃの扉を叩きます。でも、熱しやすく冷めやすいかも(汗)

●引用文には下線_か囲み線□をつけています。
●書物に関する記事は、旧ブログからのサルベージもあります。



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