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『書物の敵』

2010.01.28 *Thu
この本の帯には、「愛書家必読!本へのオマージュ」と書いてありますが、全く持ってその通りです、はい。
本好きには、うん!うん!!その通り!!とうなづけることばかりがでてきます。

本書は、著者ウイリアム・ブレイズが、その当時の書物を悩ます環境(状況)や人を、「書物の敵」として描くことにより、書物への愛を高らかに宣言したものだと思います。
とはいいつつも、本を汚し、さらにはこの世から抹殺しようとする“敵達”には、けっして冗談ではない本気の“怒り”がこめられていて、読んでいてうなづけると共に、なんだかちょっと笑えてくるところがおもしろいです。
文章がユーモアに満ちていて、それでいて「書物」という存在そのものを崇高だと思っていない人間にしてみれば、「?」なくらいの本に対する姿勢が、なんともいじらしいというか、愛らしいというか、そういうところもおもしろい理由です。

たとえば、当時、書物にとっては大敵だった、書物を食う虫、「紙魚」を、なんと観察するために飼ってしまう(!!!!)と言った行動、また紙魚が、どのようにして書物を食い荒らすのかを書物に残る痕跡から推測し、細かに記録しちゃうところ、本好きじゃない人にとってはもはや正気の沙汰とは思えない行動ですが、私はかなり共感を覚えました。
この紙魚、なんと表紙にも描かれている上に、なんとも細かい精密画でイラストが登場するので、虫嫌いな私はちょっと怖かったです。
著者がどれほどのユーモアのセンス、文章を書く才能を持っていたのかを証明するために、本文から引用したいと思います。

「(略)餌として三種類の古紙を精選して一緒に箱の中に入れ、あまり煩わせないようにしたのだけれども、どうやら幽閉の憂き身にご立腹だった模様で、餌もあまり食べなければほとんど動きもせず、死ぬ頃になっても体の形状すらたいして変わってくれなかった。ギリシア生まれでヘブライ語の知識を身体に詰め込んだこの虫は、私が今までに見たことのある虫とは様々な点で異なっている。(中略)ずいぶんとしぶとく生きながらえたのだが、成体になるのを心待ちにしていた飼い主に「深く悼まれつつ」この世を去った。」

また、製本をして書物を哀れな状態へ追いやる製本屋に対しては、

「『神曲』の「地獄篇」でダンテは数々の死者たちに対し、その過去の罪によくみあった様々な責め苦を与えている。私は今まで、製本屋がその手に託された貴重な書物の汚れない紙面を手荒に扱い、その威厳や美観や価値を根こそぎ奪うのを目にしてきたが、もし私がこのけしからぬ者どもを裁かねばならないとしたら、こうして非情にも削り落とされた紙面を集めてきて燃やし、この無道な輩を弱火でゆっくりあぶってやることだろう。」

ユーモラスたっぷりには描かれているが、ウイリアムさん、本気度80%だと思います(笑)また、本好きじゃない人には理解し難いかもしれませんが、私も激しく同意します(笑)

本書は、書物を悩ますあらゆる敵、たとえば火や水やガス、はたまた人間まで、ありとあらゆる敵を列挙していますが、もちろん現代とは事情が違うので、現代ではあまり気にしなくていい敵もでてきます。
逆に、現代になって浮上してきた“敵”もいますよね。
昔の敵に想いをはせつつ、今の敵を考えるのも楽しいかもしれません。
すべての本好きにおすすめしたい作品です。

■■■
以上、2004年12月13日の記事に加筆修正

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月子

名前:月子
本の感想等を書いてます。
好奇心旺盛なので、興味がわくとあっちゃこっちゃの扉を叩きます。でも、熱しやすく冷めやすいかも(汗)

●引用文には下線_か囲み線□をつけています。
●書物に関する記事は、旧ブログからのサルベージもあります。



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